料理店が学ぶ食品衛生と感染症対策について
(2024年10月2日 名古屋フランス料理研究会)
愛知医科大学医学部臨床感染症学講座
主任教授・医学博士
三鴨 廣繁 先生
(講演要旨)
名古屋地域のフランス料理シェフの集まりである名古屋フランス料理研究会が実施している朝の勉強会において、メンバー約40名の参加のもと、食中毒、消化管感染症について講演いただきました。発生頻度が多くよく耳にするノロの他、セレウス菌、カンピロバクター菌等々、食中毒を起こす種々多様な菌について、それぞれの特徴や予防策を一つ一つ丁寧にご説明いただきました。黄色ブドウ球菌は弁当やおにぎりに多く、ウェルシュ菌はシチューやスープ、レトルト食品に多いことなどから、それらの提供時には注意が必要であることが強調されました。またジビエや海水産魚介類の調理をする際に注意すべき菌についても、先生ご自身が外食後に罹患されたご経験も交えてお話いただきました。さらに劇症化しやすい腸チフス対策としての胆石治療やサルモネラ対策としてのミドリガメ飼育忌避、緑膿菌対策としてのシャンプー類の保管方法等、具体策も示していただきました。参加者は集中して最後まで聴講され、講演後は多くの質問も出るなど、料理人が注意すべき感染症に関し、専門家から直接話が聞ける良い機会になったものと思われます。
介護施設における主な感染症への対策及び注意点
(2024年9月27日 株式会社リエイ)
千葉大学医学部附属病院 感染制御部
感染症看護専門看護師
谷中 麻里 先生
(講演要旨)
株式会社リエイが運営するデイサービスの施設長を中心に、約50名がWeb形式で参加するなか、介護施設における注意すべき感染症とその対策について、約1時間半にわたり丁寧なご講演をしていただきました。依頼者からは事前にいくつか講演に加えてほしい内容のリクエストもあり、それに応じて資料を用意していただき、コロナやインフルエンザ、ノロ等の従来の感染症に止まらず、昨今大きな問題となっている薬剤耐性菌についてもその特徴や対策について分かりやすく説明されました。また、いずれの感染症もまずは手指衛生、個人防護具、環境整備等の標準予防策が大切なこと、さらに個別の感染症については経路別(接触感染・飛沫感染・空気感染)の予防策も徹底することが重要であることが強調されました。一方で、感染対策とともに、その人が生活する上で大切にしていること(団らんやコミュニケーションなど)を守ることも考えるという視点での話もあり、非常に印象的でした。最後に、事前に質問のあったレプリコンワクチンついて、その仕組みから臨床試験のデータまで、説明いただきました。参加者からは、現場に即した質問も多く出て、学びの多い講演となったものと思われます。
食中毒の基礎知識と予防
(2024年9月19日 障害者支援施設 朝日塾)
独立行政法人 地域医療機能推進機構 横浜中央病院
感染管理認定看護師
橋本 佳恵 先生
(講演要旨)
横浜市内にある社会福祉法人朝日の里 障害者支援施設朝日塾の看護師及び支援スタッフ23名の参加のもと、食中毒の原因、発生状況、感染経路、予防及び感染対策について、見やすいスライドを用い、参加者への質問等を織り交ぜながら、大変わかりやすく講演していただきました。特に施設での対応を想定し、ノロウイルスに関しては、感染経路及び予防ポイントについて詳しく解説されました。また身近に潜む食中毒として、口飲みしたペットボトル内の細菌数や、二日目のカレーなどで増殖するウェルシュ菌に関する話題提供もあり、参加者は興味深く聴講し、食中毒への理解がより深まったものと思われます。講演後には、参加者が実際に手洗いチェッカーを使って正しい手洗いを再確認するなど、日常の業務につながる内容で、施設の担当者からも大変感謝していただきました。
感染症及び食中毒についての基礎知識と感染/蔓延防止策について
(2024年7月11日 株式会社アドナース)
社会福祉法人 京都社会事業財団 京都桂病院
看護部 科長 感染管理認定看護師
中村 考志 先生
(講演要旨)
京都市内及び九州で、訪問介護・訪問看護、児童支援などの事業を行っている株式会社アドナースの介護士や看護師などのスタッフ約40名(その他にWebで約60名)の参加のもと、感染症全般の基礎知識と予防策、及び食中毒にフォーカスした具体的な疾患とその予防策について講演いただきました。講師の中村先生及び京都桂病院と(株)アドナースは、業務上でも関係があり、和やかな雰囲気での講演となりました。講演資料として、絵や図表の多い見やすいスライドを用い、大変わかりやすく解説していただき、特に食中毒については、分類や近年の発生件数の推移などの全体的な話に加え、カンピロバクター、サルモネラ、ノロウイルスについて、それぞれ具体的に、原因菌・ウイルスや、症状、予防のポイントなどについて説明されました。参加者は、興味深く聴講しており、食中毒への理解がより深まったものと思われます。
新型コロナウイルスの特徴と感染予防策
(2024年7月5日 介護老人保健施設 港さつき苑)
JCHO大阪みなと中央病院 感染管理認定看護師
沼田 伸枝 先生
(講演要旨)
大阪市内で最大の定床数の介護老人保健施設 港さつき苑の医療介護スタッフ30名以上の参加のもと、新型コロナウイルスの特徴と感染予防策、感染について講演いただきました。新型コロナ感染症が5類感染症に移行したとはいえ、感染性は依然高い状態で全国的には患者数が増加しているにも関わらず、新聞・マスコミでの話題が少なくなっている現状の中、今回の講演は新型コロナウイルスの変遷、最近のウイルスへの対応の変化、これからの感染対策等について詳細に大変分かり易く説明頂きました。新型コロナ感染症予防策の再確認という観点から、高齢者施設で勤務するスタッフの方々には有意義な講演になったのではないでしょうか。出席者は最後まで熱心に聴講していました。
感染症から身を守るために
-注意すべき感染症と対策-
(2024年2月29日 船橋市福祉サービス公社)
千葉大学医学部附属病院 感染管理認定看護師(血液内科病棟)
漆原 節 先生
(講演要旨)
船橋市福祉サービス公社の生活・介護支援サポーター事業に参加されているボランティア46名の参加のもと、感染対策を中心に講演いただきました。そもそも感染とは何か、感染症の症状と主な感染経路について、さらに予防対策としての手指衛生と衛生環境の維持、個人防護具の適切な使用について、大変分かりやすくお話いただきました。特に重要な手指衛生については、蛍光塗料とブラックライトを使用し、参加者全員が自らの消毒がどこまでできているか、確認することができ、今後の参考にしていただく機会となりました。消毒剤については種類や推奨される使用のタイミング、正しい清掃方法等、普段あまり意識しない細かな留意点も確認することができました。また、講演の最後には、注意すべき感染症として、新型コロナ、インフルエンザ、疥癬、ノロウイルスを取り上げて、それぞれのポイントについても触れていただきました。今回の講演で得た知識を、今後のボランティア活動に活かしていただければと思います。